人売りビジネスに絶望し、光の速さで辞めたSESの話。
SESは闇であるという話がある一方、優良企業もあるという話も聞きます。
今回は私がかつて在籍していた闇の方のSESの話をしたいと思います。
特にオチがないただの思い出話なので、こんな会社もあるんだーくらいの感覚で聞いてください。
もくじ
全ての始まり
それは有給が実は無休だった!というびっくりブラック企業を退職し、絶賛ニート期間だったときのこと。
就職先が見つからず途方に暮れていたのですが、専門学校時代の友人からその友人が働いているIT系ベンチャー企業へのお誘いを受けました。
当時プログラミングスキルは皆無で業界完全未経験でしたが、学歴や経験に関係なく正社員になれる上、昇格も昇給もすぐだよ!とのこと。
とにかく就職したかった私は藁にもすがる思いでその話に乗ったのですが、ふたを開けてみればベンチャー企業じゃなくただのブラックSES企業でした。
ちーも
冷静に考えればそんな甘い話ないよなって今ならわかります
すぐに面接が決まったので会社に出向いたのですが、いきなり社長面接、そしてその場で採用。
都内にある設立1年未満の企業で、当時社員は20人いかないくらいだったと思います。
ベンチャーと聞いていたので社内で何か開発するのかな?と思ってたんですが、別の会社に出向するみたいな説明を軽くされました。
その次の週くらいにすぐ常駐先との面談をすることになりました。
人売りビジネスで奴隷気分を味わう
当日まで面談がどういうものなのか特に詳細の説明はなく、指定されたカフェで社長と待ち合わせ→一緒にお客様のところに行くという話だけ聞いていました。
本来SES企業では営業担当がこういう客先とのやり取りをするらしいのですが、零細企業なので営業なんて存在しなく社長直々に色々やってました。
誰のスキルシートですかこれ
カフェに着いたら社長から私のもの「らしい」スキルシートを渡されました。
「らしい」というのは到底私の経歴ではなかったからです。
簡単に言えばスキルシート、勝手に盛られてました。
数日前にメールで今までの経歴やらプログラミングスキルを聞かれてたんですが、もちろん業界未経験なので開発実績なんてないし、前職でちょっと凝ったVBA使って業務効率化したくらいです。
IT専門学校は行ってましたがプログラミングは大したこと学んでないし、数年触ってもいないのでほぼ忘れてて、変数の定義とかも怪しいレベルでした。
なのにJava経験年数3年とか、社内システム開発経験あり(VBAのこと?)ってなってたんですよね。
ちーも
ちょっとイミワカンナイ
なんかこの時点でやばいかも?って思ってたんですが、後に引けないんで仕方なくそのまま面談に行きました。
よくわからんおじさん達に売られる
見出しの字面がヤバいですが売〇ではないです。
カフェを出て社長と一緒にとある駅に行くと、改札前に知らないスーツのおじさんが来て、なんやかんや社長と話して、そして社長は「頑張ってね!」とか言って颯爽と去っていきました。(スキルシート渡してた)
ちーも
「???!」
おじさんは名刺を出すわけでもなく誰なんだか意味不でしたが、次はこのおじさんと行動を共にするみたいでした。
その後小さめのビル→大きいビル→・・・
毎回違うおじさんに引き渡され、最終的に駅前のデカいビルで面談になりました。
隣には何人目かの知らないおじさん。
最終的なお客様らしき相手に私のスキルシートを見ながら喋って売り込みしてます。
ちーも
(初見のくせにな。あとその内容、だいぶ嘘ですよ)
私は質問に適当に答える程度であんまり発言してないです。
無知な私でも自分が5次だか6次受けのヤバめな状況ということは察してテンションも下がってました。
後日社長から連絡が来て、どうやら合格になったみたいでした。
入社してすぐぼっちで客先常駐
この流れでお気づきの方もいると思いますが、すぐに客先常駐が決まったということは社内研修なんてものがなかったことを意味します。(ホワイトSESは数か月研修があるらしい)
社長が言うには土日に自社で勉強会(もちろん無給)があるから参加してとのこと。
ちーも
(いや普通に嫌だよ)
あといきなり一人での常駐です。(ホワイトSESはチームで動くらしい)
当時はこの時点でもまだSESの知識がなかったんで、なにも疑問に思わなかったですが。
初日、出勤したら私と一緒に行動する方(以下正確には上司ではないけど上司とします)を紹介され、私用の名刺やらPCやらを渡されました。
ちなみに自社の名刺もあったのですが、絶対に自社名は名乗らないように言われました。
所属する部署は10人くらい人がいたと思います。
事務所は結構広くて部署ごとに机が島になっているのですが、私が案内された席は所属する部署の島からだいぶ離れた、パーテーションの向こう側の長机でした。
ちーも
「???」
引き出しとかなんもない長机と椅子が何個も並んでて、そこに点々と3人くらいが座ってPC見ている感じ。めっちゃ雰囲気どんよりです。
上司「好きなとこ座ってね!」
私「はい!」
どうやら私には自席がないらしい。
プロパーとの壁
その後何日も特に仕事がなく、社内ネットワーク上にある資料をみていて欲しいと言われました。
あとたまにExcelでの資料作りを頼まれる程度。
暇すぎて死ぬかと思ったし、別に小学生でもできる内容だし、それにパートナーである私がアクセスできる場所はかなり限られていて、資料作りの仕事もまともにできないレベルでした。
そのたびに上司や別のプロパー社員(客先の社員)にお伺いをたてる必要があり、めんどくさそうな対応をされてました。
あとプロパー社員はみんなでお昼とか行ってましたが、私が誘われることはありませんでしたね。
なんか空気みたいな存在です。
未来を感じない仕事内容
数週間経って、その事務所じゃなくとある病院に出勤するようになりました。
というのも私の部署は電子カルテに関わる仕事をしていたので、実際にそのシステムが導入されている病院のサーバールーム的なところで作業をするとのことでした。
「おー!ちょっとそれっぽくなってくるんじゃない!?」と最初はイケイケエンジニアライフを期待してたのですが、場所が変わっても私の仕事は基本Excelとにらめっこ。
たまにバッチ前のテスターをやってましたが、テスト項目通りにシステムを操作してあとはやっぱりExcelに〇つけたりコメント入れたりの単純作業でした。
この辺で自分の存在価値に疑問を持ち始め、1ミリもエンジニアとして成長できないであろうことを察し、病み始めてました。
そもそも違法じゃない?
仕事は基本上司から指示を受けてやってましたし、指示されて飛行機での出張にも行ったのですが、これってSESじゃなく偽装請負?ですよね。
あんまり詳しくないですが違法だか、なんかマズかった気がします。
でも例の名刺の件含め、自社の社長もプロパー会社も全部わかっててやってたんだなと思います。
SESの闇がどんどん深く
飛行機出張の最中上司と話してたんですが、この出張をするにあたって常駐先の会社は自社に結構な出張手当を払ってたらしいです。
「だから給料結構いいんでしょ?」みたいに上司は言ってましたが、自社から出る出張手当含めても月収20万いかなかったので「何のことやら」です。
ちーも
移動時間とか考えたら出張は損でしかなかった
気になったので社長にそれとなく単価とかマージン率を聞いてみたんですが、はぐらかされて教えてもらえませんでした。
この記事を書くにあたって調べたのですが、SESのマージン率は平均35%〜40%程度らしいです。
そして数年越しにこのブラック会社(自社)のHPも覗いてみたら、なんとマージン率が公開されてました!!!
45%らしいです!
当時と同じかわからないけど高い!
元々n次受けで少ない単価が、さらに半分近く取られてたと思うとショックです。
仲良しごっこのせいでプライベートがない
SES企業では月一での帰社日という制度を設けているところが多く、要はみんな客先にいて自社社員との関りがないので、帰属意識を持たせるためにわざわざ集まるんですよね。(やることは報告会という名のお菓子パーティー)
ちなみに自社オフィスは人が沢山入ることを想定していなく手狭なので、どっか適当なレンタルオフィスを借りてやります。
ちーも
それで帰属意識は生まれるのかは謎である
その他やけにBBQやら脱出ゲーム行くやら、自社社員との交流を大事にしやがります。
プライベートと仕事をはっきり分けたい自分には迷惑だし、断りにくくて休みをつぶされるし正直ストレスでした。
別に会社の人と友達にならなくていいです。
強引にアサインしようとする
最初の現場は仕事内容もそうですが、それよりも上司に難ありで(セクハラとか etc)ストレスから胃腸炎になってしまい、もうここで仕事は続けられないと思ったので社長に常駐先の変更をお願いしました。
一応その現場は離れられることになったのですが、いくらスキルシートを盛ってもほぼ未経験の私がいける新しい現場はその時あまりなかったみたいです。
社長から提案された新しい現場は家から片道2時間半。
私は無理だと断ったのですが、東京では2時間半通勤は普通だし、そんなことでは今後やっていけないと言われて無理やり通わされそうになりました。
ちーも
都内の皆さん、2時間半は普通なんですか??
あと入社した後の説明で待機期間中は給料の半額が出るという話をされてたんですが、なんやかんやで出ない?みたいな話になり、それ以前に無理にでもどこかの案件にぶち込もうとしてるのが見え見えでした。
もう社員のことなんてなんも考えていないし、勤務時間が長かろうが給与が悪かろうが、仕事内容がExcelしか使わないようなところだろうが、そんなの全く関係なしです。
会社としては人をとりあえずどこかに常駐させればそれだけでお金が入ってくるので、別に社員の成長とかどうでもいいんですよね。
結局社長の考えや会社の雰囲気、キャリアビジョンが見えないなど、諸々無理だと思い新しい現場に行かず会社ごと辞めました。
4か月弱しか在籍してなかったのですが、今でもそのことは全く後悔してません。
むしろここで逃げて正解だったと思っています。
ブラック企業の定義
ブラック企業のイメージとして長時間勤務が思い浮かぶ人は多いと思いますが、なにをもってブラックとするかは人によって色々だと思います。
毎日定時では帰っていたので(というか残業させると色々めんどくさかったらしい?)、終電企業戦士のみなさんからしたら甘っちょろいと思われるかもしれませんが、私はこの会社は誰が何と言おうとブラックだったと思います。
なぜ友人は私をブラック企業に誘ったのか?
誘ってくれた友人は私が就職できずに悩んでいたのを知っているので、その人のことを悪く言うつもりは決してありません。
あと現場にもよると思うので、本当に友人がこの会社に満足していて良いと思って誘ってくれたのかもしれません。
それをふまえた上でお話するのですが、実はこの会社には友達紹介制度なるものがあり、紹介で誰かが入社したら5万円もらえるみたいでした。
ちーも
なんかソシャゲみたいだよね
これは入社後の説明で社長から話を聞きました。いっぱい身売りしたいからいっぱい社員が欲しいんでしょうね。
友人はそんなこと一言も言っていなかったし、これを聞いて「なんだかなあ。」とモヤったのは確かですが、これも一種のSESの闇なんだと思ってからは割り切ってます。
その友人とは退職してから縁が切れてしまったけど・・・。元気かな。
私すぐ辞めちゃったけど5万円は無事にもらえたのだろうか。
伝えたかったこと
それまで田舎でのほほんと事務をしていたり、IT企業はともかく都内で働いたこともなかったので、このSESでの経験は驚かされることが多かったです。
面談の日は奴隷売買されてるみたいだし、都合が悪いことは説明しない社長にもびっくりです。
現在働いている会社はホワイトですが、そうじゃなくても普通に自社に出勤して自分の机とPCがあるという、たったそれだけで幸せだなと感じることができます。
あのままあの会社で働いていたら今頃どうなっていただろうと恐怖すら感じるのですが、今は笑い話になっていて、特にIT関係ない仕事をしてる人にこの話をするとウケるのでそこは唯一良かったと思える点です。
全てのSESがこんなブラックだとは限りませんが、実態は入ってみないと分からないしアサインされる現場にもよるので、かなり博打的だと思いますね。
結局何が言いたかったかというと
未経験OKのSES企業はまじ怖いということです!!
長くなりましたが、私の思い出話は以上です。
この会社を辞めた後に独学でエンジニアになった話はこちら
【独学エンジニア監修】プログラミングを独学するためのロードマップ
私は現在社内SE兼プログラマーのようなものをやっており、副業でもWEB制作をやっています。 またこのブログもPHPやCSS、jsなどを使い色々とカスタマイズして楽しんでい…